夢だってわかっちゃったからかな。



瞼がさらに重くなって、起きられない。


ううん、本当は、起きたくないの。



だって、起きたら、寂しい思いをしなくちゃいけないから。




わたしは布団で頭を覆い隠して、起きないアピールをする。



「あと五分」



眠たそうなか細い文句を、喉の奥からしぼり出した。


お母さんの呆れた声は、聞こえてこない。



ねぇ、お願い。


まだ寝かせて。


この夢の続きを見させて。



またわたしの名前を呼んで。

莉子、って。