包帯を巻き終え、ブレザーを羽織ったと同時に、部屋に葉上先生が入って来た。
「包帯巻いたか?」
「はい」
葉上先生は、部屋を出ていこうとした看護師さんに確認を取り、再び左腕の状態を軽く調べた。
短い沈黙が流れる。
消毒液の匂いが、鼻の奥を刺激した。
「……辛いか?」
「へ?」
唐突の質問に、思わず間抜けな声が漏れる。
辛いって、何が?
「この左腕、嫌いか?」
二つ目の質問で、一つ目の質問の意味がわかった。
葉上先生、気づいてたんだ。
わたしが、わたしの左腕が、みんなに気味悪がられたこと。
隠しとおせたと思ったのにな。



