「左手は動くか?」


「はい」


「左腕は?」



試しに左腕をぐるぐる回してみる。


傷を負っているとは思えないくらい、ちゃんと動く。



「違和感とか、感じないか?」


「はい、大丈夫です」



わたしの返事を聞いてから、葉上先生はもう一度左腕の傷を診た。



「幸い、神経とか大事なところは傷ついてないみたいだな」



傷口は深いけれど、縫合するほどでもないらしい。


あまり大したことがなくて、ほっとした。




「じゃあ、別室で看護師さんに包帯を巻いてもらってください」



最後は先生らしい口調で締めた葉上先生にお礼を言って、診察室をあとにした。




待合室で数分待ったあと、看護師さんに診察室とは別の部屋に案内された。


そこで、看護師さんが左腕の傷が悪化しないように、丁寧に包帯を巻いてくれた。