葉上先生は「触るよ」と一言告げて、左腕の傷の具合を調べた。
「結構深くまで傷ついてるな。何があったんだ?」
「実は……」
昼休みに起こったことを簡潔に説明した。
野次馬のことは伏せて。
話し終えると、葉上先生に苦笑された。
「そりゃ大変だったな」
「……はい」
「その頬の傷も、そのときに?」
わたしも苦笑いをして、頭を縦に振った。
もし、ガラスの破片が刺さったのが、右腕だったらどうなっていたんだろう。
血がこぼれて、痛みが襲って。
周りは白い目で見ることなく、わたしを心配してくれたんだろうか。
それとも、同じ結末だったんだろうか。



