そして、わたしは、琴平先生が持ってきてくれたカバンを持って、学校を出た。
制服の破れたところを手で隠しながら、バス停まで歩く。
バス停にたどり着いて、病院行きのバスが来るのを待った。
田舎町だからめったにバスは通らない。
だが、タイミングが良かったのか、時刻表によるとあと数分でバスが来るらしい。
今日は、いろんなことがあった。
……ありすぎて、感情がごちゃまぜになってる。
まるで、頭上に広がる、曇り空のように。
若干遅れて到着したバスに乗り、一番うしろの座席に座った。
乗客はわたし一人しかいなかった。
動き出したバスの規則的な揺れに身をゆだねながら、窓に頭を寄せる。
「バケモノ、か」
自分の左手を、グーパーグーパー、握ったり開いたり。
腕にガラスの破片が刺さっても、ちゃんと動く。