キーンコーンカーンコーン。
昼休み終了のチャイムが鳴り響いた。
「チャイム鳴ったわよ。皆瀬は教室に行きなさい」
「はいはい」
「矢崎さんはちょっと待ってて。冬木先生に報告するついでに、カバン持ってきてあげるから」
「はっ、はい。ありがとうございます」
颯爽と保健室を出て行った琴平先生とは違って、皆瀬くんは余裕そうにのんびりと歩いている。
皆瀬くんが行っちゃう前に、もう一回伝えておきたい。
わたしの気持ちを。
「み、皆瀬、くん」
「ん?」
開きっぱなしの扉の前で、皆瀬くんは振り返った。
スカートをきゅっ、と握って。
一度閉じた口を、開いた。
「本当にありがとうね!」