涙声で紡ぐ感謝の気持ちは、思った以上に小さくて。 それでも、皆瀬くんはしっかり受け取ってくれた。 「ならいいんだけど」 皆瀬くんは、何も聞いてこない。 フツーじゃない左腕のことも、わたしの噂のことも、何も。 それが、皆瀬くんの優しさ。 ……ありがとう。 皆瀬くん。 本当に、ありがとう。 わたしは何度も何度も、心の中で「ありがとう」を繰り返した。 言っても言っても足りないくらい、嬉しくて。 熱を帯びた涙が、こみ上げてきた。