「失礼します」 中には誰もいなかった。 あれ? 保健医の琴平【コトヒラ】先生は? いない……みたい。 どうしよう。 勝手に絆創膏をもらっていってもいいのかな。 「琴平先生なら、さっきの騒ぎを聞いて飛んで行ったよ」 「え?」 誰もいないと思っていたのに、どこからか声がした。 この声って……。 ベッドを囲っていたカーテンが、シャッ、と音を立てて開かれた。 「皆瀬くん……!」 「どうしたの、矢崎さん。怪我?それとも琴平先生に何か用?」 ベッドから出てきた皆瀬くんが、わたしに近づいてくる。