咲間さんの手から、プリントが滑り落ちる。
「っ、」
小さなガラスの欠片が、右頬をかすった。
一滴の血が、頬を伝っていく。
ヒリヒリ、痛む。
それに、左腕にも違和感を感じる。
「今の音はなんですか!?」
職員室から、冬木先生を先頭に先生たちが飛び出してきた。
騒ぎを聞きつけて、近くにいた生徒も集まってきた。
わたしは目を開けて、廊下の惨状を目の当たりにする。
ガラスの破片でいっぱいの廊下に、プリントが数枚散らばっていて。
足元にはサッカーボールが転がっている。
「二人とも、大丈夫ですか?」
焦った様子で尋ねてきた冬木先生に、咲間さんは「は、はい」とぎこちなく返事をした。



