どんな君でも、愛おしくてたまらない。





階段を下りて、廊下を歩いていく。


職員室の扉が開くのが見えた。



「あれは……」



咲間さんの姿を目にして、思わず足を止める。


学級委員の仕事だったのか、職員室から出てきた咲間さんは数枚のプリントを持っていた。



一時間目のとき目が合ってから、なんだか妙に気まずい……。




無意識に俯きかけた、が。


視界の隅に入り込んだものに、目を見開く。



窓の外でうろたえてる数名の生徒と、こちらのほうに飛んでくるサッカーボール。




「危ない!」


「え……?」




咄嗟に、大声を出して、咲間さんに手を伸ばす。


ただただ混乱している咲間さんを、かばうように抱きしめた。




――パリンッ!!



サッカーボールが勢いよく窓を割り、ガラスの破片が廊下に飛び散る。


襲いかかる鋭い破片を恐れて、条件反射で目を瞑った。