気のせい?
いや、確かに目が合った。
咲間さんは、このクラスの学級委員。
長い栗色の髪を器用に編み込みながら左下で結っている、おしゃれで可愛らしい人。
しっかりしていて、よく頼りにされている。
なんで咲間さんが、わたしを見ていたんだろう。
しかも、いつもの、非難するような尖った視線じゃなかった。
何か、言いたそうな視線だった。
わたし、知らない間に何かしちゃった?
全く覚えがない。
わたしの噂が、咲間さんに何か迷惑をかけた、とか……?
だとしたら、どうしよう。
悶々と悪い方向にばかり考えてしまう。
結局、咲間さんがわたしを見ていた理由は見当つかず、授業もずっと上の空であまり聞けなかった。



