どんな君でも、愛おしくてたまらない。




……でも、今日は、窓際の一番うしろの席は、空席。


皆瀬くんは、いない。



皆瀬くんは、たびたび欠席する。


一日休んでるときもあれば、途中から来たり帰ったりすることもある。


クラスメイトはサボりだなんだと、冗談半分にはやし立てていた。



本当にサボりなのかな。


それとも、具合が悪いのかな。




「では、咲間さん。強調を表す係り結びはなんですか?」


「はい。『ぞ、なむ、こそ』です」



近くの席の人が指名されて解答した声で、我に返った。



いけないいけない。


授業中なんだから集中しなくちゃ!



切り替えて、前を向く。



すると、なぜか、斜め前の席の咲間 依世【サクマ イヨ】さんと目が合った。


どちらともなく、目をそらす。