春が訪れるたび、思い出す。 初めて環くんと会った、あの日のことを。 今にも泣き出しそうな環くんの表情を。 初めての恋が愛になった瞬間を。 「ねぇ、お母さん!」 「なに?」 「あっちの公園、すごく大きい桜の木がある!行ってみようよ!」 腕を引っ張られ、「しょうがないなあ」と笑みをこぼした。 ――あぁ、愛おしい。 永遠に特別な君と 君との間にできた我が子が 愛おしくてたまらない。 <END>