わたしは環くんの頬に、そっと左手を伸ばした。
それにね、
「環くんは、独りじゃないよ」
わたしが、そばにいるよ。
ふと、一粒の涙が左手に触れた。
環くんの目から、涙が落ちてはあふれ、落ちてはあふれを繰り返し、絶え間なく滑り落ちていく。
散ったとしても、また花を咲かせる桜みたいに。
「莉子ちゃん、ごめん。迷惑だって言って、遠ざけてごめん」
環くんが嗚咽まじりに謝る。
もう、いいんだよ。
「謝らないで。環くん、言ってくれたじゃん。『泣かせたくないから、ダメ』って。あれは、環くんの優しさでしょ?」
ポロポロ滴っていく涙は、まるで桜のように綺麗だった。



