公園の目の前までやって来て、ゆっくり足を止めた。
ベンチと滑り台しかない、森閑とした公園の真ん中に一際目立つ、大きく育った桜の木が一つ。
つい最近まで華やかに咲き誇っていた、桜のほとんどはもう散ってしまい、ずいぶんと物寂しくなった。
そんな桜の木の幹に触れて、涙を我慢するように見上げる、環くんがいた。
やっぱり、ここにいたんだね。
ポケットの中の写真に力をもらって、公園に一歩踏み入れた。
「環くん!」
環くんがこちらを向き、だんだんと目を見張らせていった。
「ど、どうして莉子ちゃんがここに……?」
驚く環くんの疑問には、答えない。
答えなくても、すぐわかるだろうから。



