手にしたままだった八年前の写真を、ずっと持っていたかった。
理由なんかない。
ただ、なんとなく、手放しちゃいけない感じがしたんだ。
わたしはカバンを持って、家を出て行った。
走って学校へ向かう。
八年前の写真は、スカートのポケットの中にしまってある。
脳内に浮かんでしまった“あのときの少年”と環くんの関係性が、こびりついて離れない。
信ぴょう性は薄いし、証拠も何もない。
全然違うかもしれない。
わたしの妄想でしかないのかもしれない。
でも。
でも……っ。
泣いていないのに泣いているように見える、“あのときの少年”と環くんの横顔に想いを馳せるたび、どうしようもなく思ってしまう。
もしかしたら、って。



