ついに、このアルバムの最後のページになった。
そこには、八年前、近くの小さな公園にある大きな桜の木を背景に、家族みんなで撮った写真が一枚、貼ってあった。
“あのときの少年”に会った、その前日に撮影した家族写真だ。
まだ七歳だった幼いわたしと、お母さんとお父さんと、おばあちゃんとおじいちゃん。
みんな、笑ってる。
桜色に彩られながら。
写真を指先でなぞる。
懐かしい。
大切な、思い出。
「あ、れ?」
写真に写る、公園の目の前の道を歩いてる、一人の通行人に目が留まった。
おばあちゃんに一言ことわって、アルバムから八年前の写真を抜き、その通行人をじっくり凝視した。
……間違いない。
桜の木の奥を、紛れるように、けれど確かに写っている。
“あのときの少年”が。



