……初めて見た。
おじいちゃんが、おばあちゃんの名前を呼ぶところを。
「なんですか、おじいさん」
見つめ……いや、睨み合う二人。
睨み合いで負けたおじいちゃんは、プイッと顔をそらした。
「おじいちゃんは、おばあちゃんのどんなところを好きになったの?」
「……っ」
おじいちゃんは黙々とお昼ご飯を食べていき、応えてはくれなかった。
そんなおじいちゃんを横目に、おばあちゃんはわたしにこっそり耳打ちする。
「照れてるんじゃよ」
照れてる?
おじいちゃんのほうをチラ見してみる。
おじいちゃんの耳たぶは赤くなっていた。
「本当だ」
わたしはおばあちゃんと顔を見合わせて、笑みを漏らした。



