「莉子ちゃん」
「なに?おばあちゃん」
「今、好きな人でもいるのかい?」
数秒遅れておばあちゃんの言葉を理解し、お味噌汁を飲んでいたわたしは、つい噴き出しそうになって咳き込んだ。
慌てて、お茶を喉に流す。
「……と、突然、どうしたの?」
「ふふっ。莉子ちゃんがそういう表情をしていたから、ちょっと気になってね」
そういう表情って、どんな表情!?
さっき葉上先生にもバレたし、わたしってわかりやすいの?
自分じゃ鏡がない限り、自分の顔を見れないからわかんないや。
「わたしたちにもこんなころがありましたね、おじいさん」
「ああ、懐かしいな」
穏やかな雰囲気が、おばあちゃんとおじいちゃんを覆っていった。



