「少女は不治の病を患っていて、自分があとわずかしか生きられないと知り、外の世界に飛び出しました」



夢中になって、物語を聞き入った。



「そこで、少女は一人の少年と恋に落ち、二人は次第に惹かれていきました」


「しかし」と、葉上先生が続ける。



低くなった声のトーンとは裏腹に、葉上先生の表情は終始和やかだった。



「運命には逆らえず、少女は永遠の眠りにつきました」



亡くなっちゃったんだ……。


ハッピーエンドだと思ってたから、余計に悲しくなる。




「そして、少年は、少女ように病に苦しんでる人を救いたいと決意し、医者になりましたとさ」



……え?


医者になりました、って。



「もしかして、今の物語……」


「そう、少年っていうのは俺のこと」