「検査には関係ないが、莉子ちゃんが悩んでるように見えたから気になってさ」
「!」
「これも当たった?」
こくん、と小さく頷く。
葉上先生はエスパーか何かなの?
一つ悩みが解決すれば、また一つ悩みができる。
悩みは、尽きない。
環くんの力になりたいのに、何もできていない。
むしろ、環くんの負担になっているんじゃないかと思って、ブレーキがかかる。
前に進むのをやめたくなる、非力な自分が嫌い。
葉上先生が検診しながら、肩を落とすわたしを一瞥して瞼を伏せた。
「あるところに、とても美しい少女がおりました」
「は、がみ、先生?」
葉上先生が紡ぎ出した、ある物語。
わたしはいきなりのことにびっくりする。



