どうして、環くんも病院に来ていたんだろう。
誰かのお見舞い?
でも、そんな様子には見えなかった。
もしかして、環くんが背負っているものと関係があるの?
わたしの考え過ぎ、かな。
「矢崎さん。矢崎莉子さん」
モヤモヤ考えていると、名前を呼ばれた。
診察室に入るよう促される。
診察室に入室し、中にいた葉上先生に軽く一礼する。
「おはよう、莉子ちゃん」
「おはようございます」
挨拶を返しながら、葉上先生の前にある椅子に腰掛ける。
「左腕に違和感でもあったか?」
「いえ、そうではなくて……昨日の体育で左肩にボールが当たったので、念のため診てもらいたくて」



