環くんはもう一度謝ってから、元いたところに戻っていった。
「莉子、肩痛む?保健室行く?ついて行こうか?」
「依世ちゃん、落ち着いて!このとおり、なんともないよ」
不安げな依世ちゃんを安心させようと、左肩をぐるぐる回す。
ねっ?
ちっとも痛そうじゃないでしょ?
バスケットボールが当たった直後は、衝撃で痛みが襲ったけど。
すぐに痛みは引いた。
「守ってくれてありがとう。ガラスのときと今回で、二回目だね。本当にありがとう」
「どういたしまして。依世ちゃんこそ、怪我はない?」
「莉子のおかげで、どこも怪我してないよ」
「そっか、よかった」
ふと、周囲の目が気になり、おずおずと周りを見渡す。
ガラスが割れた日の野次馬のようだったら。
そんなネガティブな憶測を、覆された。



