環くんが、わたしに変わるきっかけをくれた人だとしたら。
依世ちゃんは、わたしと一緒に変わってくれた人。
今では、わたしの噂を口にするクラスメイトはいなくなったのは、依世ちゃんがあのとき『みんな、もうやめなよ!!』って叫んでくれたおかげ。
わたしが環くんに告白できたのも、依世ちゃんがわたしの前髪を切って、背中を押してくれたから。
依世ちゃんが教えてくれたんだよ。
自分の信念を曲げずに立ち向かうことの大切さを。
「確かに、莉子の左腕は、あたしや他の人とは違うかもしれないけど……!」
心なしか、依世ちゃんの目が潤んでいるように見えた。
キラキラ、きらめく。
まるで、綺麗な星のように。
「それ以上に、あたし、知ってるよ。莉子のいいところ、たくさん」
「依世ちゃん……っ」
「それなのに、莉子を嫌いになれるわけないじゃん」
莉子はバカだなあ、と依世ちゃんが半分呆れ、半分愛おしみながら、さらにきつくわたしの左手を包み込んだ。



