みんなとは違う異常者がいれば、誰だって噂を信じて怖がる。
わたしも反対の立場だったら、そうしていたかもしれない。
「ごめんね、急に暗い話して」
依世ちゃんは首をブンブン横に振った。
「こんなわたしでも、友達でいてくれる……?」
弱々しく尋ねると、依世ちゃんの両手がわたしの左手を握りしめた。
冷たいわたしの左手を、必死に温めるかのように。
「なにわかりきったこと聞いてんの」
「え?」
「友達でいてくれる?、なんてさ」
左手に、熱は、帯びない。
「当たり前じゃん!」
代わりに、依世ちゃんの「ありがとう」という気持ちが、震える指先に染み込んでいった。
愚問、だったね。



