待っててくれて、ありがとう。
不覚にも、打ち明ける前から泣きそうになって、頑張ってこらえた。
「わたしね、クリスマスイブのとき――」
そして、わたしは語り始めた。
クリスマスイブに起こった悪夢と、わたしが隠してきた真実を。
その間ずっと、依世ちゃんは黙って、真剣に聞いてくれていた。
全てを語り終え、頼りなげに眉尻を下げる。
「わたしの左腕は、この先、普通に戻ることはないんだ。一生、このまんま」
しょうがない。
時間を巻き戻しても、あの雪崩を防ぐことはできなかった。
死んでしまったお母さんとお父さんも、犠牲になったわたしの左腕も、蘇ることはない。
「あながち、あの噂は間違ってないの」
まるっきりウソとは言いきれない。
フツーじゃないバケモノだと、わたし自身も思っていた。



