屍のように冷え切った、感覚が働かない、わたしの左腕。
このバケモノじみた腕を恐れていた日々が、もはや懐かしい。
「見学しなくても平気だよ。バレーできる!」
「本当に?」
「うん!葉上先生……あっ、わたしの担当医にはちゃんと許可をもらってるし」
依世ちゃんの表情には、心配の色が残っていた。
わたしはまだ、依世ちゃんに話せていない。
わたしの噂の真相を。
知らないのに、依世ちゃんは、わたしを気遣ってくれている。
このまま話さなくても、依世ちゃんとの友情は崩れたりしないだろう。
でも、それでいいの?
わたしは無意識に、逃げてるんじゃないの?
友達だからって、全て話さなくちゃいけないルールはない……けど。
何も言わずに、待っている気がした。
わたしから秘密を打ち明ける瞬間を。



