用はすんだし、昼休みももうすぐ終わるから、教室に戻らないと。
琴平先生に一礼して、保健室を出ようとしたら。
「矢崎さん」
「はい?」
なぜか、琴平先生に名前を呼ばれた。
琴平先生も、わたしに何か頼みごとがあるのかな。
「皆瀬に、何かきついこと言われた?」
思いがけない質問に、心臓がドキッと露骨に反応をする。
真剣味を帯びた琴平先生の眼差しに、つい口ごもってしまう。
「えっと……」
「言われたんだね」
「……は、はい」
どうしてわかったんだろう。
さっきの話、琴平先生に盗み聞きされてた、とか?
「どうか、皆瀬のことを嫌わないでやってね」
「嫌いません!」
琴平先生のお願いに、食い気味で応える。



