環くんは、淡白な笑みを浮かべる。 「大丈夫だよ」 環くんが好きだからこそ、気づいた。 今、笑ってごまかされたことに。 何も大丈夫そうに見えないよ。 本当に? そう聞き返そうとしたわたしを見透かすみたいに、 「莉子ちゃんは、どうしてここに?」 今度は環くんが、わたしに質問をしてきた。 「琴平先生に用があって、それで……」 「琴平先生なら、さっき購買に昼食を買いに行ったよ」 ……あ、また。 胸を過ぎる、妙な違和感。 この違和感の正体は、何なんだろう。