わたしは、ノートとプリントと一枚の紙を持って、職員室をあとにした。
お、重たい……。
荷物の重量に屈しずに、教室へと移動する。
日直の仕事は大変だなぁ。
疲れながらも、教室に着いた。
教室でノートとプリントを配り終え、また教室を出て階段を下りていった。
次は、保健室を目指す。
保健室の前で立ち止まる。
トントン、と二回ノックをして、扉を開けた。
「失礼し……」
語尾が、しぼんでいく。
保健室で一人、窓枠に肘を付きながら、雨のせいで霞んで見える桜の木をぼんやり展望している、環くんの横顔に魅了されて。



