心臓の奥の、さらに奥のほうまで、えぐられる。
なんだろう、この感覚。
今までどおり、だよね?
そのはず、なのに。
うまく言い表せない違和感を感じるのは、なぜ?
どしゃ降りの雨のせい?
「莉子、おっはよ」
肩をポンと軽く叩かれて、正気に戻る。
振り向くと、雨天でも関係なく明るい依世ちゃんがいた。
「おはよう、依世ちゃん」
「皆瀬くんもおはよー!」
「おはよ」
環くんは挨拶を返すやいなや、背を向けてこの場を離れていった。
環くんの背中が見えなくなるまで、ずっと目で追い続けた。
あの微笑みには、どんな感情が秘められていたんだろう。



