や、やってしまった。
重要な第一声を、盛大に噛み倒しちゃった!
環くんの瞳に、わたしが映される。
決めたんだ。
今日は逃げないで、自分から挨拶するって。
じめじめした空気を吹き飛ばすように、息を吸った。
「お、おは、おはよう!!」
また噛んでしまった。
なんでわたしは、こうも大切なシーンでキメられないんだろう。
うなだれかけたわたしに、
「おはよう、莉子ちゃん」
今までどおり、環くんは挨拶を返してくれた。
安心して顔を上げ、息を呑んだ。
環くんが、困ったように、憂いているように微笑んでいたから。



