昨日、逃げてしまったなら


今日、前に進んで


新しく上書きすればいい。



どれだけ怖くても、会いたい気持ちはここに在るから。






家を出て、学校に向かった。


傘が、雨を弾く。



せっかく視界がクリアになったというのに、灰色の厚い雲のせいで、景色は暗く淀んでいる。




校舎前に到着して、すぐに環くんを見つけた。


環くんが傘を閉じて、校舎に入っていく。



「……よし」


恐れずに行って、自分から言おう。


小さく気合いを入れて、わたしも校舎の中に足を踏み入れた。



「た、たた、た、環くん!」