環くんは驚きを隠せない様子で、目を見開く。
仲良くなり始めたばっかりだけど、どうしようもなく好きなの。
何よりも、誰よりも、特別。
「ありがとう」
環くんの声が直接、わたしの高ぶった心に届く。
「だけど、ごめん」
その一言で、身体の熱が引いていった。
唇を、強く噛む。
「俺、誰とも付き合う気ないんだ」
「……そ、っか」
バカだなぁ、わたし。
ほんのちょっと、期待してしまった。
もしかしたら本当に、わたしも環くんの特別になれてるんじゃないか、なんて。
そんなわけ、あるはずないのに。
勘違いも甚だしい。