どんな君でも、愛おしくてたまらない。




そんな田舎町だから、




「ほら、あの子よ」


「あの噂、本当なのかしら」




こんな風に、一度どこからか噂が流れれば、一日も経たないうちに町全体に広まってしまう。



またか……。


ゴミを出しに外に出た近所のおばさんたちが、通学路を歩いているわたしをチラチラ見ながら、わたしに聞こえるか聞こえないかくらいの微妙な声量で噂話をしてる。



いつもこう。


わたしが外を歩くたび、白い目で見られる。



「本当だったら怖いわね」


「近づかないほうがいいわ」



ズキリ、と心臓が軋む。



前に聞いた、わたしの噂。


それは、わたしの秘密に関わるものだった。