朝食を食べ終えたわたしは、玄関で靴を履く。
学校に、外に、行きたくないな。
吐き出してしまいたいわがままは、決しておばあちゃんとおじいちゃんには言えない。
余計な心配をさせたくない。
ただでさえ、二人には心配かけているんだから。
わたしは一回深呼吸をして、カバン片手に扉を開けた。
「行ってきます」
二人にそう言って、扉を閉める。
空が、異様に遠く感じた。
前に住んでいたところとは全く違う、緑豊かな景色が広がる。
高層ビルはもちろん、コンビニすら徒歩圏内にはない。
この町の住人はみんな顔見知りで仲が良く、一つの大きな家族のよう。
もちろん、外部から来たわたしは、その輪の中に入っていない。



