「莉子ちゃん、まだ前髪切らないのかい?」 「う、うん」 おばあちゃんの心配そうな顔に、胸が締め付けられた。 「邪魔じゃないのかい?」 「うん、大丈夫」 ……ウソ。 目元が隠れるくらい長い前髪は、正直言うと、邪魔くさい。 でも、これでいい。 これがいい。 長いほうが落ち着くんだ。 「いただきます」 「どうぞ、召し上がれ」 利き手である左手で、箸を持つ。 おばあちゃんが作ってくれたほかほかのご飯を、一口食べた。 今日もおいしいな。