俺は図書室に資料を運ぶため、図書室に来ていた。そこで本の整理をしている図書委員の安斎を見かけた。
ハシゴに登り本を順番に並べている。なんか危なっかしいな……

視線に気づいたのか安斎は手を振ってきた。

「八木くん」

「お、おぅ」

手を振られたのは意外だったため、照れてしまいうまく返事ができない。
その時だった、ハシゴがぐらりと揺れた。

「危ね」

安斎の悲鳴と共に八木はハシゴの下にいった。

うまく受け止められればいいけど、受け止める準備はしたものの。うまくキャッチできるはずもなく八木は安斎の下敷きとなった。

「いたた。えっと八木くん?平気」

安斎は気づいていないのか辺りをキョロキョロと見渡している。

「安斎、ここだここ」

そう言うと安斎は慌てふためいて、すぐにどいた。

「ご、ごめんなさい。重かったでしょ。怪我してない?」

そう言いペコペコと謝る。

「いいって気にしてねぇ」

ゆっくりと立ち上がるが腰に若干痛みが残る。

「保健室行こう、保健室」

「えっ」

「しっかりと見てもらわなきゃ。早く」

そう言い腕をグイグイひっぱり保健室に向かった。

安斎って大人しくて引っ込み思案かと思ってたけど、けっこう強引だなと八木は思っていた。

保健室につき保健の先生にとりあえず腰に湿布を貼ってもらった。

「やっぱり怪我してたんだね。ごめんね。ごめんなさい」
と一生懸命に謝る。

「俺はいいよ、安斎は平気?」

「私は大丈夫。とにかく八木君は安静にしてね」

そう真剣な目で見つめられる。一生懸命でちょっと抜けててほっとけない。彼女は真剣に俺のことを心配してくれて言っているだけなのに、俺はそんな彼女にドキドキしている。

「とりあえず、次からハシゴ使う時は気をつけろよ」

「う、うん」

「じゃあ、俺はもう行くよ」

「安静にしてなきゃダメだよ」
と安斎は説得するが、これ以上安斎と一緒にいたら心臓が爆発しそうだ。

「大丈夫だから。それに部活に行かなきゃだし。じゃーな」
そう言って俺は安斎のそばからすぐに離れた。
俺ってマジチキン野郎だ。と心の中で呟いた。