想い舞う頃〜最初で最後の恋〜


黄色の方がいいかなと少し迷いながらも、淡いオレンジ色の半袖Tシャツに長いジーンズという無難な格好に決めると、昨日と同じようにお母さんにおはようと行ってきますを言うためにリビングへ寄った。

すると今日のお母さんは、ソーセージとチーズのトーストを食べていた。

美味しいのは間違いない匂いと、お母さんのいたずらな笑みに負け、食べた。

それはそれは美味しかったものの、そのせいで家を出たのは昨日とほぼ同じ時間になった。綾美の家に着いた今の時間も、昨日とほぼ同じ。

呼び鈴のボタンを押せば、昨日と同じかわいらしい音が響いた。少し先のドアがそっと開くと、今日は髪の毛を下の方で2つに縛った女の人が走ってきた。

「いらっしゃーい」

「綾美……」

綾美のツインテールなんてなかなか見られないんだろうなというのと同時に、どんな髪型も似合うんだなと思った。

「昨日もだったけど雰囲気違うね?」と言うと、綾美は「家にいるときはいつもこんなだよ?」と笑った。

「てか、早く行こ?」

綾美が開けてくれた門から中へ入り、「自転車はあそこね」と言われて昨日と同じ場所に自転車を置いた。