前回と同じ場所に自転車を置かせてもらうと、今回も綾美の部屋へ直行した。相変わらず かわいらしい部屋だ。

前回と同じ場所を指で示され、そこに座ってと言われると、頷いてそこに座った。


「……そうだ、宿題持ってきた?」

前回と同じ場所に座った綾美に訊かれ、「うん、とりあえず」と答えたけど、実際は綾美に教えてもらうためにわざわざ全部持ってきた。

「綾美はやった?」

「全然。1ミリもわかんない」

その言葉と共に、大量の宿題たちがテーブルに並べられた。

「ちょっといい?」と一言挟み、1冊のノートをぱらぱらとめくった。

1ミリもわかんない、と言う割に結構なページが黒くなっていて笑うしかなかった。

「数学は……これ?」

「うん。それは超本気でやった」

「……えっ」

数学のノートへ伸ばした手が止まる。「終わった?」と訊くと、「終わっちゃいないよ」と綾美は苦笑した。

少し安心して、先ほどのノートと同じようにぱらぱらとページをめくる。

「……いや、真っ黒じゃん」

「そんな進んでるの数学だけだから。あいつをギャフンと言わせるの」

「ハハッ……鈴木先生ね」

「もう大っ嫌い」

引きずるねえ、と笑うと、当たり前じゃん、と真顔で言われた。