芹沢くんとはその後、会えたり会えなかったりを繰り返し、夏休みに入った。学校はないけど大量の宿題がある夏休みは、始まってから早くも数日が経っている。
何日目かの夏休み。タオルケットに包まれてベッドから降りられずにいると、枕元の携帯がメールを受信したことを知らせた。
『今 暇?』という2〜3文字のメールは、綾美からのものだった。
『こんにちは。暇だよ?』という内容を、絵文字を入れて明るい雰囲気にして返した。
間もなく『Welcome』の文字と音符マークが返ってきた。
ようこそって言われてもまだ行くだなんて言ってないけどと思いながらも、綾美の言いたいことはわかった。来いと言いたいのだろう。
『何時?』と返せば、『今、すぐ、早く来て』ときた。
「まじですか」と呟きながら、『了解です』と返信し、準備をするため ようやくタオルケットに別れを告げた。タオルケットが寂しげにこちらを見つめているような気がしてしまう。
今年の夏は厳しい暑さになりそうだと、テレビの中の美人さんは言っていた。
タオルケットは私がいなくても大丈夫だと自分に言い聞かせ、少しでも薄い素材の半袖はないかと、鏡のついた低めのタンスを開けた。
「……おっ」
どれが薄いかと中身全体を見ていると、1枚の白いTシャツに呼ばれた。
てろてろした、肌触りのいいお気に入りのTシャツだ。これにはだいたい、デニムの短パンを合わせる。
それでいいかと思い、Tシャツと短パンを引っ張り出した。



