嫌いな先生の授業も、上手に外を見ていればそんなに辛くなかった。
最近、授業態度の切り替えが上手くなってきている。先生によって、外を眺める時間の長さや頻度を変えるのだ。
嫌いな先生の授業からホームルームまでをそうして乗り切り、強烈な疲労感に抱かれながら外へ出た。明るい空の下に、私と綾美の2つの影が並ぶ。
「まだ月曜日。……あと4日? 信じらんない」
外へ出るやいなや、綾美は愚痴とため息を漏らした。こういった愚痴は、綾美の口から1日に数回聞く。今日はこれで何回目だろうと思った。
「なんで1週間って7日もあるんだろう」
綾美が不思議そうに言った。
「……えっ?」
「いや。そんなに長くなければ、もっと頻繁に休みが入るわけじゃん? 絶対その方がいいと思うんだけど」
「そうなのかな? ね、昔は土曜日も学校だったんだもんね」
「ふざけてるでしょ」
ありえない、と言って綾美は、右手で持つ鞄を紐をねじってくるくると回した。
自転車置き場に着けば、綾美は先ほどと同じ愚痴を漏らした。綾美の言葉を受け流して、私は3組の自転車の方を見た。
咲菜が女子と話している姿の次に、芹沢くんと大野くんの姿を見つけた。
本当に仲よしなんだねと思いながら2人を見ていると、「愛はいっつもなに見てんの?」という綾美の声で現実の世界に引き戻された。
「あっ、いや……なにもないよ?」
慌てて ごまかすと、綾美はあからさまに怪訝な目を向けてきた。
そして「絶対嘘。絶対なんかある」と言って私の見ていた3組の方へその目を向けた。



