しかも実際、芹沢くんが本当に私のイメージ通りの人なのかはわからない。
もしも綾美の言う通り危ない人なら、わかったらすぐに関わりを断つ気ではいるけど、綾美は私が芹沢くんと接していること自体が嫌なようだった。それなら、仲よくなろうとしていることは言わない方がいい。
もしも仲よくなれてそれが綾美に知られたら、芹沢くんはいい人なんだよと嘘偽りなく言える。
その逆なら、今と同じようなことを本当のこととして言えるだけ。
やはり言わない方がいい、と考えを固めた私は、綾美に元気がないと思わせてしまった理由を探した。こういったジャンルならすぐに見つかる。
迷わずにひとつの引き出しを開けると、その中の1つを取り出した。
「最近、ちょっと寝不足なんだよね」
これは間違いない。眠かったりお腹が空いたりしていたら、誰だって元気はなくなる。
予定通り、綾美は「そうなんだ」と頷いてくれた。
「そう言えばあたし、寝不足ってないかも」
「へえ。いつもちゃんと眠れてるの?」
「うん。真面目に考えてみると。あたし、こう見えて早寝・早起きだけは命をかけてでも守るタイプだから」
意外すぎる綾美の言葉に、つい噴き出してしまった。
「ハハハッ、全然見えない。むしろすっごい夜ふかししてそう」
「やだ、ほんと失礼。……ってどこ行くの?」
綾美の声が少し後ろになり、振り向けば昇降口を通り過ぎていた。微かに顔が熱くなるのを感じながら戻ると、綾美には豪快に笑われた。



