想い舞う頃〜最初で最後の恋〜


午後の授業2時間と、帰りのホームルーム。2時間弱の時間があんなにも長いものだと思ったのは初めてだった。

授業の内容も、帰りのホームルームで小嶋がなにを話していたのかも、全く覚えていない。小嶋のことだから、どうせ大したことは話してないんだろうけど。


教室を出て昇降口へ向かっていると、隣を歩く綾美が話し掛けてきた。なぜか心配したような声だった。

「……愛、大丈夫?」

「えっ? 私?」

しかいないじゃんと真面目に言う綾美に、そうだよねと真面目に返す。入学式の日に似たような会話をしたな、と頭の片隅で思った。

「昨日から……だよね。なんか元気なくない?」

「ああ……。あのねえ……」

「うん」


昼休み、と言おうとしたところではっとした。私が昼休みに芹沢くんと会っていることを、綾美は全く知らない。

この際もう言ってしまおうかとも思うけど、綾美は私が芹沢くんと仲よくなり、不良になってしまうことを恐れている。

私は芹沢くんを不良だとは思っていないけど、綾美がそう思っている以上、芹沢くんと接していることは隠さなければならない。