どうやら3組の男子は、みんな芹沢くんや大野くんに憧れているらしい。しかも、芹沢くんへの憧れが強い人はちょっと制服を着崩したりもしているんだとか。
そういう男子を、咲菜は芹沢狂いの悪循環に陥っていると言った。さらに、あんなやつらが2人の真似してもなににもならないとも。
咲菜の毒舌というかブラックぶりには中学校で一緒にいた2年間で慣れたけど、2人の影響力には驚かされた。
咲菜の話を聞く限り、2人の影響力はかなりのものだ。だからだろうか。教室内がやたら落ち着いているのは。
2人とも、賑やかなイメージはない。
教室内が落ち着いた雰囲気に包まれている理由はどうであれ、異性にも同性にも好かれるなんて、さぞかし気分は最高だろうなと思った。
「……あっ」
今になってやっと、今日ここへきた理由を思い出した。芹沢くんに会いにきたんだ。
「あの、芹沢くん……」
なにか会うための無難な言葉を言おうとしたら、それを阻止するようにチャイムが鳴った。
「おっ。楽しい時間は早いね。じゃ、また来てねっ」
咲菜はそれを聞くと、さらっと別れを告げ、教室の中へ戻って行った。
「ああ、うん……」
前はチャイムが鳴っていても話したのに。
私は特に意味もなく時計を見ると、閉められたドアの前にため息を残して隣の教室へ向かった。
うどん、もう4つ作れたんだ。
4つ。思ったより少なかったな。



