綾美と 何気ないことを話していると、2時間目の授業が始まった。今度は科学だ。私はこの時間も、当たり前のように窓の外を眺めている。
別に面白いものが見えるわけじゃない。ここから見えるものと言えば、たまに飛んでいる鳥と、校門前に並ぶ、桜の薄紅色くらいだ。
しかしあの桜も、そのうち全部散って葉だけになってしまう。
今のうちから、そうなってしまったら なにを見ようかと考えた。先生は勉強のことを考えろ、とか言うのだろうが、それができないからこうしているのだ。
授業は50分間。そんなに長い間、この私が黒板とノートだけを見ていられるわけがない。
科学担当のこの先生も、見た目年齢は小嶋と同じくらいで、これと言った特徴はない。
数学の鈴木先生ほどうるさそうではないけど、小嶋ほど存在を気にしないでいられるような人でもない。一番めんどくさい、一番 加減の難しいタイプだ。
おまけに、見ていても話を聞いていても面白くない。
そんな先生の授業を、先ほどとはまるで違う態度で受ける綾美。私真面目ですオーラをぷんぷん放ち、せっせと右手を動かしている。
綾美は先ほど、この授業が始まる前、数学の時間だけをあのように過ごすと言っていた。
芹沢くんたちのことを問題児だったとか不良だったとか言っている綾美だけど、私には彼女も十分な問題児に見えてしまう。



