想い舞う頃〜最初で最後の恋〜


「ありがとうございました」

「ありがとうございましたあ」

授業と挨拶が終わると、綾美の敵こと鈴木先生は教科書などと共に教室を出た。斜め後ろの綾美はまだ寝ている。

細い腕にかかる綺麗な髪の毛をいじってみたけど、反応はない。


「綾美、終わったよ?」

起きないのかと声を掛けると、目を閉じたままの綾美から寝てないしと返ってきた。


「はあ。髪の毛やめなさい。……てかやっぱり、なかなかできないね。本気で寝るのって」

「うーん……」

昼休み十分本気で寝てるんだけどな、とは思うだけにした。

「やっぱりあの2人はすごいよ」

綾美は感心したように言うと、ゆっくりと猫のような目を開けた。その目と視線が重なる。

「……芹沢くんと……大野くん?」

「だって当たり前のようにだよ? 寝てるの」

あたしにはできない、と、昼休みに30分近く寝ている綾美は言った。

「うーん。なんか疲れてたんじゃないの?」

「真面目に授業も受けないで? なにに疲れんのよ」

綾美は体を起こし、肩をすくめて半笑いで言った。

「もう。愛は人を信用しすぎ。ピュアで羨ましいけどさ」

「信用っていうか……」


2人の間に変なストーリー作ってしまったから、そのイメージが抜けないのだ。勝手にストーリーを作ってしまう癖を持っているのは、間違いなくお母さん似だ。