朝のホームルームが終わると、すぐに数学の時間はやってきた。綾美の大嫌いな時間だ。
ガンを飛ばすと言っていた綾美は、斜め後ろの席で腕を枕にして寝ている。成績は大丈夫なのだろうかと少し心配になった。
言ったでしょ? 中学の頃、先生のこと舐めてたって――。
ふと、昨日の綾美の言葉を思い出した。中学の頃、芹沢くんたちもこんな感じだったのだろうか。
今朝の2人が本当にあの“大沢コンビ”だったなら、私にはますますそんな姿は想像できない。2人とも鞄を持っていたし、当たり前のように昇降口の方へ歩いていた。
中学を卒業して急に変わったのかという考えが浮かんだが、すぐに自分で否定した。だとしたら、彼らの身に一体なにが起きたというのだ。
「はあ。……で、ここでこの8を――」
先生のわざとらしいため息で、今が数学の時間だったことを思い出す。顔を上げて重なった視線の先の先生の目は、だいぶ怒っていた。
先生も私たちだけに構ってないでもっと教室全体を見ればいいのにと思う。
それが仕事だろうと思いながら、私はボールペンを握り、赤の芯を出した。



