想い舞う頃〜最初で最後の恋〜


「今日はなにをお探しで?」

「じゃあ、美咲ちゃんを探して」

「どうせじゃ男の人からそう思われたいな」と小さく笑い、美咲ちゃんは眠そうに目をこすった。

「あ、学校楽しい?」

「うん、結構楽しいよ。友達もすぐできて、今度男の子とも仲よくなれそうなの。まあ、その人とは今日初めて話したんだけどね」

適当に、買いもしない推理系の小説が並ぶコーナーへ向かいながら言うと、隣を付いて来る美咲ちゃんの表情が変わった。募集中の彼女のことだから、男の子という言葉に反応したのだろう。

「その子、かっこいいの?」

気合いの入った美咲ちゃんの声が訊いてくる。

「うん、ちょっ……いやかなり」

歩きながら答えると、彼女はなるほどと呟いた。

「背。背は?」

「175」

「顔は?」

「ぱっと見冷たそうだけど、引くほど綺麗」

言ったあと、なのに笑うとかわいい感じになるんだよなと思った。

美咲ちゃんは目元を手で覆った。芹沢くんみたいな人がタイプなのだろう。

「わかった、今度連れて来てよ」

「は?」

「いやほら、仲よくなれそうなんでしょ? 仲よくなったら連れて来てよ」

「嫌だよ。“ちょっと本屋行かない?”って。私のキャラじゃないし」

「残念ですねえ。……でもいいなあ。あたしが通ってた高校なんて、イケメン1人もいなかったかんね。ほんと」

「まあ……ハハッ」

芹沢くんレベルの人が好みの美咲ちゃんでは、そりゃあかっこいいと感じる人もいなかっただろう。彼らはもう、特別というか特殊だから。