想い舞う頃〜最初で最後の恋〜


少しの間 綾美と咲菜のことを話し、校門を出たあと、私はいつもと違う道を選んだ。どうせ家へ帰っても宿題くらいしかすることはないし、本屋さんにでも寄って帰ろうと思った。その宿題がなかなか終わらないのだけど。


家からも学校からもそう遠くない場所に、大きな本屋さんがある。私は、小学校の頃から読書感想文の本を買いに、年に一度の頻度でそこへ通う自称常連客。常連を名乗るには頻度が少ないかもしれないけど、売上にはだいぶ貢献していると思っている。

1人の店員さんとはすっかり仲よくなり、その人とは友達感覚で話をする。高校を卒業したらここへ来たらどうだと誘われているくらいだ。

その話はもう、小学校高学年になる頃には出ていた。密かに、私が卒業した頃に募集してたらいいなと思っている。


お店の前へ着くと、低木に囲まれた小さな駐輪スペースに自転車を置き、中へ入った。見慣れた、どこか落ち着く景色が広がる。

「おっ、愛ちゃん。いらっしゃい」

左側から声が聞こえ、そちらからはこの店の黒いデニムエプロンの胸元に『藤原』と書かれた名札を付けた店員さんが寄って来た。私は笑って手を振った。この人が小学校の頃から仲のいい店員さんだ。

彼女は藤原 美咲(ふじわら みさき)。明るい茶色のショートヘアが似合う、綺麗とかわいいの両方を持った贅沢な女性。男勝りな性格で、現在絶賛彼氏募集中。

タメ口で話すようになった、私が小学校6年生くらいの頃に確か22歳だと言っていたので、年齢は25歳〜26歳。